派遣元会社のマージン率(中抜き率)はどの程度なのでしょうか?表現をかえると、派遣元会社は、派遣先企業から得られる金額から、どの程度引き抜いて(ピンハネして)、派遣社員に給料を付与しているのでしょうか?

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マージン率とは

マージン率とは、派遣先企業から派遣元に支払われる金額のうち、派遣社員に渡す金額を引いた額の割合を示す数字であり、以下のような定義になっています。

マージン率=(派遣料金-派遣労働者の賃金)÷(派遣料金)×100

例えば、マージン率30%で時給1000円の場合、実際に派遣先から派遣元に支払われる時給(派遣料金)は、時給1429円になります。

また、マージン率30%で時給1000円の場合、実際に派遣先から派遣元に支払われる時給(派遣料金)は、時給2143円になります。
やはり、30%のマージン率だと、結構な額を引き抜いている印象はあります。

マージン率の実情

実際の派遣会社のマージ率はどの程度なのでしょうか?

調査1

最近(2016年4月)、NHKで報道された調査結果によると、マージン率が「20%以上30%未満」の派遣会社が49%、マージン率が「30%以上40%未満」の派遣会社が39%となりました。

マージン率 派遣会社の割合
20%以上30%未満 49%
30%以上40%未満 39%
40%以上 8%

調査2

陽月秘話というブログの地道な調査(2016年1月)によると、マージン率は約29%となっています。また、昨年のマージン率は26.8%であり、今年の方が、マージン率が上昇しています。

○調査概要
・調査期間:2016年1月3日~1月25日
・調査対象企業:一般社団法人 日本人材派遣協会(JASSA)の登録企業と派遣大手企業数社
・調査サンプル企業数:579社
・リストアップ事業所数:1,082拠点
・調査方法:インターネットを使い該当情報の有無を各社ホームページ上で確認する

○調査結果 ※括弧内の数字は昨年の調査データ
・マージン率の公開率:18.0%(19.1%)

≪マージン率≫
・平均値:29.3%(26.8%)
・最大値:旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ 51.0%(50.0%)
・最低値:株式会社インテリジェンス 中国支社 12.0%(11.6%)
・前期比変動幅平均:+0.7ポイント

(引用元:陽月秘話の「人材派遣業界のマージン率とそのデータ 2016年版」

参考(実際にマージン率を公開している派遣会社例)

参考までに、実際にマージン率を公開している派遣会社例について紹介します。

富士ソフトの公開マージン率のリンク

株式会社リツアンSTC

まとめ

調査1のデータでは、平均は30%前後、調査2のデータでは、マージ率は29.3%ということで、マージ率は、大体30%前後で落ち着いているようです。ただ、これらの調査結果は、マージン率を公開している、全体の約10%の企業のデータですので、実情のマージン率の平均は、もう少し高いと予想されます。

マージン率はどのように使われるの?

平均が30%のマージン率というと、やや高い印象ですが、マージンした金額から以下のような諸費用がかかるのもまた事実です。マージンした金額から諸費用を引いた金額が、派遣元企業の利益(営業利益)になるという仕組みです。

○マージンした金額に含まれる諸費用
・社会保険料
・有給休暇費用
・会社運営経費(健康診断費用、就業管理費用、営業費用など)

マージン率を確認するには

実際に派遣されて働いている方の場合、マージン率を簡単に確認することができます。終業時に「就業条件明示書」という契約書類を必ず受け取ります。この「就業条件明示書」には、派遣料金が記載されているので、自分の時給から、マージン率を簡単に計算することができます。

参考までに、私の手元にある就業条件明示書からマージ率を計算すると、23.5%でした。平均のマージ率(30%程度)よりは低いことになります。意外にも派遣元会社のマージ率の収益は、低めということになりますね(笑)。